私は80年代半ばに、ITエンジニアからキャリアをスタートしました。ITの世界では、複雑な人間の業務をIT化するにあたって、「モデリング」という技術を使います。対象業務の構成要素を洗い出し、要素の関係を図で表して直感的にわかりやすくします。
やがて私は、ITプロジェクトのマネジメントに携わるようになりました。プロジェクトのリスクや、発生する問題について関係者と議論するのですが、ほとんどの人はリスクや問題を漠然としかとらえておらず、「いったい何を不安視しているのか」「どこをどのように問題に感じているのか」議論が成立しにくく困らされることもしばしば…
そこで私は、プロジェクトをモデリングして描くことを思いつきます。「どんな作業が行われているか」「誰が従事しているか」「何を作りだしているか」「どんな仕組みを用いているか」などを図式化して表します。
これにより、プロジェクトのどこに危険性や問題点があるか、会話が成立しやすくなりました。これが私のコア技術である「4ファクター・モデル」の原型です。
更に私はプロジェクト以外にも、お客様の日常業務の問題改善に携わるようになりました。社員の方ひとりひとりの業務を4ファクター・モデルで表し、本人も気づいていない問題構造を洗い出し、「どこにどういう手を打って改善できるか」改善プランを練り上げます。改善案の入った4ファクター・モデルは上司や関係者と共有し、周囲の理解・協力を得て改善を進めることができるようになります。
これまで関わった多くの企業では、「仕事の中に問題があることに慣れてくる → 問題を問題と感じなくなる → 改善の意欲が失われ、活力そのものを失ってゆく」という病理が診てとれました。「どこに問題があるか」を具体化させる4ファクター・モデルは、この病状の改善に効果がある妙薬です。私はこのコア技術を活用して組織やプロジェクトの活性化をご支援する活動を行っています。
□ビジネス思考力研究所 主宰 梶岡 浩一(かじおか こういち)
米国PMI会員・PMP / 日本PMO協会認定PJM-A
日本総合研究所にて、主にIBM系大規模プロジェクトに、ITエンジニア・プロジェクトマネージャとして携わる。
アーンストアンドヤング・コンサルティング社にて、ITシステムに関する方法論を考案し、関連教育コースの開発やコンサルティングに携わる。
2000年代初頭より、アイ・ティ・イノベーション社にて教育ビジネスを立上げ、12年間教育業務を運営。多くの教育コースを開発し、講師として大手企業を中心に数多く登壇。
2015年 ビジネス思考力研究所を創設。
※ 知識提供だけにとどまらず、実務上の問題解決をとりあげる研修を得意としている。